枝葉散花

詩やら写真やらを垂れ流します。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

FARCE的文明の散文詩

わたしは進歩主義などというものは嫌いだ。 わたしは保守主義などというものは嫌いだ。 我々はただ推移する。 我々は何も進んでなどいない。 ただ生まれ、ただ死ぬ。 それだけのことを、進歩だの、保守だの、いかにもオオゲサ。 新しさと思ったものは、いつ…

四月二七日のこと

やってしまった。と、そのような後悔が苛むことをわかっているのに、私はどうして手を出してしまうのか。ひとえにそれは麻薬中毒者と同じことで、ドーパミンに犯されきった脳髄は、自制を喪い体を乗っ取るので、わたしはただそれをどこか遠くから眺めながら…

雲、流れ。

今年の空はよく荒れる。 荒々しい雲が吹き付ける風に流されて、 思うままにはならず、 気ばかりが逸っては私を置いて行き。 空の青も見えずに眺めている。 ざわついて落ち着かず、 今日の日がすぎるのを待ちまして。 暗に隠れれば落ち着きましょう。

空を切り裂く線形

電線の描く線形の絡まり合い。 複数の図形。 直線、曲線、螺旋を描いて。 空を縦横に切り裂いてしまう。 美しさの欠片もなく醜怪なものでしかなくても。 切り取ってしまえば幾何学。

1/90 frequencies lied.

何かがうまく行っていない。 積もった嘘に埋もれてしまって、 忘れたものがあるらしい。 青白い蛍光灯は明滅し、 水はテンポを刻んで流れていく。 行き先を思い出そうと足掻いてみても、 現在は過ぎて止まらない。 届かない場所へと手を伸ばそうと、 透明な…

クラック

ひび割れたタイル 荒れたスタイル ずれた心 整理のつかない感情に 惑わせるように妙に明るい光が差して 落ち着かない

中毒者

仕事を辞めてしまって、はやひと月が過ぎた。そんなことを何度か書いては消して、何かを書こうと思えども一向何も浮かばないというのを繰り返している。 ほんとうはさっさと、くだらないことでもなんでも書いてしまえばいいと分かってはいる。けれどもそれは…

objekt 0418

道に置かれたobjektは、誰にも見られず。 人々はただ歩く。 認識されなければ存在しない幻の。 美的な景観、美的な街、美的な人々。 それらは置かれたobjektとどれほどの差があるのか? 私は知らない。それただ見る。

春を夢む

雨の過ぎて朝雲の中。 清澄な明り差す山際に、古石橋の欄干も。 散る花びらを受け止め時を止め。 枯れ色過ぎて青の萌え。 山鳥の声は遠く、水音は静かに流れ。 うつつを過ぎて春を夢む。

幽鬼的電灯のひかり

昨日見た光景を、雨の下でもう一度。 同じ感動を味わえると思ったけども、 そんな事ありはしない。 既知となった美しさにすがろうと、 それは幽鬼的電灯のひかり。 ふわふわ漂うシャボン玉のように。 ふくらみすぎたら夢マボロシ。 実が無い雄弁を――。 弾け…

陰影の構成

ずいぶん久々に夜の外を歩く。 モノクロームの世界を、影が踊る。 色彩が無くなった、形体だけの世界。 何も無いが、何かが常に満ちている。 そこに本当には存在しなくても我々は、 影を見れば確かな存在を感じ取ることが出来る。 どんなものも二色あれば構…

【読書感想】ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

京都が舞台で、京都では先行公開されているということで二、三日前に映画を見た。映画を見て、小説を買ったので感想を書く。 本日から公開、なかなかの良作だった。映画と小説で違うところ、同じところ、それぞれの表現方法の差を探すのも楽しい。 nuishabe-…

白いスミレ

モーニングを摂りに朝の散歩。 空気の冷たさも、日差しの暑さも。 春の花も、枯れ落ち葉も。 まるで四つの季節が同居する雰囲気だ。 白いスミレが珍しく。 一枚。

穴倉

砕け散った反射板、 苔むしたパイプの中に一欠片。 まるで血のようだと思ったから、 それがやたらと目についた。 朝からどうにも煮詰まって、 ふとした痛みに襲われる。 穴倉の反射板、 いつか苔に覆われて。 それとも雨に流される? 時間だけがただ過ぎてゆ…

満たすもの

砂糖と小麦の塊に、 少し薄めのコーヒーを。 それらは管を通り全身を巡る。 そしてテーブル上には空白が残る。 レモン風味のワッフルは爆発するか? 丸善の、美術書架隣の喫茶店。

空と若葉

朝は寒すぎて起きれなかったから、 起きたときにはもう昼過ぎだった。 何もする気がおきないので、仕方がないから外に出る。 外に出てしまえばちゃんと暖かかったし、 鮮烈な色たちが心を軽くする。 ヤマツツジが見たくて森へ行ったけど、 目を惹くのは気の…

桜枝壊相

綺麗に花を咲かせた桜も、 やがては病に侵され切られるだろう。 新鮮な肉を蟲やら腐菌が食い荒らし。 いつの間にか土に還る。 切られる前は人目を引いた桜も、 切られた後は打ち捨てられるだけ。 誰の目も惹かず、ただ還る。 桜枝壊相(おうしえそう)、市原…

彩ある影のポートレート

光が道に差したとき、影の中に色彩を見る。 無限に分割された境界に、錯視効果的グラデーションを。 美しいものは永遠ではない。 必ず終わりがある。 我々は長くそれを味わおうとするが、どう頑張っても終わりがある。 故に美は永遠化される。 私の終わりが…

寂光にアヤメ

彩は寂光に、 アヤメはただたたずみ、 やがては暗に溶けましょう。 私はただ見て、 時のほどける前にそれを留めようとする。 ただ満ちたまま、 やっぱりそれも暗に溶けるのでしょう。

春驟雨

つめたい雨はもう止んで。 若葉を潤わせ春驟雨。 今年の春は二週間早いから。 蛙だって鳴きだした。 明日には夏でも驚くまい。 防水靴に穴が空いたから。 梅雨の来るまでに替えましょう。

あんまり足が痛いから

あんまり歩きすぎたから、 足は痛むし頭も働かない。 小さく叩く音に目が覚める。 薄ぼんやりと浮かぶ山影は雨に。 峻厳さはうしなはれ、 湿度を帯びた風が手を撫ぜる。

渋谷のハトは

上野のハトは毛並みがイイネだなんて、 あまりにくだらないことを思いついたのは。 わずかの草を啄むキミを、見たからだ。 濁流一角囲われて、 まるで飼われるニワトリのよう。 生きれる場所は少ないが、 なおも生きながらえている。 街のハトは結構獰猛だっ…

打ち捨てられる

誰にやられた溝鼠。 打ち捨てられてシまっても。 カラスも口をつけやしない。 ヨタモノの末路なんてそんなもの。 見向きもされず歩いてく。 ヨソモノだけが見つめてる。 正視なんてできやしないから、 ピントだってボケちまう。

八条口

夜の八条口ってどうしてこう不気味なのか。 四角四面な建物に、だだっ広いバスのりば。 さながらドンキは魔界への城。 この俗悪さがむしろ真実か? これくらいの気楽さが肝要と存じます。

anesthesia

コロナ禍以来の空白を、どのように了解すれば良いのかわからない。 わからない、ということはない。ただ空白なのだ。それしかわからない。 三年という時間を無駄に浪費させただけなのか、自分は何を思っていたのか。あるいは職業的なところから抱いた怒りだ…

買い戻し

朝起きたときから灼熱感に身を焼かれる。 完全なる二日酔い。何も出来ずに呻くだけ。 日も暮れてからようやく動けるようになったから、近所の古本屋にだけ行った。 初めて手に取ってから、もう十数年は経つ。 正しくこの版で、栞にしていたレシートまで手放…

旧友と

何年かぶりの友人たちに会った。 昔を思い出すのはあまりに楽しすぎたから。 混乱、酩酊、目が回る。 踏み出した一歩は、確かなもののはずだから。 明日まで忘れずにいたい。 鮮やかな景色たちが過ぎ去っていったから。 暗く苦しくのたうち回る。 “麻酔はい…

無職の記(2)

ここ何日かは気分が良かったり悪かったりを繰り返している。 天気がジェットコースターのようにころころと変わるから然もありなん。夏の暑さがあったかと思えば、二月に逆戻りしたように寒い雨が降る。桜の開花は全国各地で最速だ。異常気象には辟易させられ…