2023-01-01から1年間の記事一覧
薄ぼんやりと考える。 考えるということはない。暑気にやられているだけだ。 何をするのかを私は識らない。ただ辟易としてうろついているだけだ。 蜘蛛の糸は垂らされれば救いであるか、囚われれば喰い物だ。 映り込めば明晰さは失われ、そうして邪険にされ…
観光地に来ているからといって観光をしなければならない、という道理はない。 坂を一本隔てただけで誰も寄らず静かな世界が広がっていたりする。良い景色が広がっていたとして、知られなければ存在もまた無い。(観光においては)知られていない存在に価値も…
森の中を歩く。蒸し暑さとは無縁でとても心地が良い。湿度は有るが、それも潤い。暑さが伴えば苦痛であるけれども22℃ではそうはならない。 暑さは脳の縮小を招くらしい、という論文を目にした。避暑を求めるのは実際健康に良いらしい。 山道を歩いているとた…
どうにもならなさを抱えて生きている。何を思えども、何もならず。二ヶ月を棒に振って、云十万を溶かしてみて、減っていく残高に暗い喜びを覚える。 先月末に北へ逃げて、また逃げだしてている。 まとわりつく湿気に嫌気が差して、京都から逃げ出す。祇園祭…
勢い北まで来たが何をするかなんて決めないでいたので歩くしかない。 北まで来たが。 キタまでキタが…。 くだらない冗句だ。 当たり前のように桜が残っている。 まだ3時のうちから空は白んでくる。 時間感覚で二時間。 季節感覚で一月半。 それくらいのズレ…
わたしは進歩主義などというものは嫌いだ。 わたしは保守主義などというものは嫌いだ。 我々はただ推移する。 我々は何も進んでなどいない。 ただ生まれ、ただ死ぬ。 それだけのことを、進歩だの、保守だの、いかにもオオゲサ。 新しさと思ったものは、いつ…
やってしまった。と、そのような後悔が苛むことをわかっているのに、私はどうして手を出してしまうのか。ひとえにそれは麻薬中毒者と同じことで、ドーパミンに犯されきった脳髄は、自制を喪い体を乗っ取るので、わたしはただそれをどこか遠くから眺めながら…
今年の空はよく荒れる。 荒々しい雲が吹き付ける風に流されて、 思うままにはならず、 気ばかりが逸っては私を置いて行き。 空の青も見えずに眺めている。 ざわついて落ち着かず、 今日の日がすぎるのを待ちまして。 暗に隠れれば落ち着きましょう。
電線の描く線形の絡まり合い。 複数の図形。 直線、曲線、螺旋を描いて。 空を縦横に切り裂いてしまう。 美しさの欠片もなく醜怪なものでしかなくても。 切り取ってしまえば幾何学。
何かがうまく行っていない。 積もった嘘に埋もれてしまって、 忘れたものがあるらしい。 青白い蛍光灯は明滅し、 水はテンポを刻んで流れていく。 行き先を思い出そうと足掻いてみても、 現在は過ぎて止まらない。 届かない場所へと手を伸ばそうと、 透明な…
ひび割れたタイル 荒れたスタイル ずれた心 整理のつかない感情に 惑わせるように妙に明るい光が差して 落ち着かない
仕事を辞めてしまって、はやひと月が過ぎた。そんなことを何度か書いては消して、何かを書こうと思えども一向何も浮かばないというのを繰り返している。 ほんとうはさっさと、くだらないことでもなんでも書いてしまえばいいと分かってはいる。けれどもそれは…
道に置かれたobjektは、誰にも見られず。 人々はただ歩く。 認識されなければ存在しない幻の。 美的な景観、美的な街、美的な人々。 それらは置かれたobjektとどれほどの差があるのか? 私は知らない。それただ見る。
雨の過ぎて朝雲の中。 清澄な明り差す山際に、古石橋の欄干も。 散る花びらを受け止め時を止め。 枯れ色過ぎて青の萌え。 山鳥の声は遠く、水音は静かに流れ。 うつつを過ぎて春を夢む。
昨日見た光景を、雨の下でもう一度。 同じ感動を味わえると思ったけども、 そんな事ありはしない。 既知となった美しさにすがろうと、 それは幽鬼的電灯のひかり。 ふわふわ漂うシャボン玉のように。 ふくらみすぎたら夢マボロシ。 実が無い雄弁を――。 弾け…
ずいぶん久々に夜の外を歩く。 モノクロームの世界を、影が踊る。 色彩が無くなった、形体だけの世界。 何も無いが、何かが常に満ちている。 そこに本当には存在しなくても我々は、 影を見れば確かな存在を感じ取ることが出来る。 どんなものも二色あれば構…
京都が舞台で、京都では先行公開されているということで二、三日前に映画を見た。映画を見て、小説を買ったので感想を書く。 本日から公開、なかなかの良作だった。映画と小説で違うところ、同じところ、それぞれの表現方法の差を探すのも楽しい。 nuishabe-…
モーニングを摂りに朝の散歩。 空気の冷たさも、日差しの暑さも。 春の花も、枯れ落ち葉も。 まるで四つの季節が同居する雰囲気だ。 白いスミレが珍しく。 一枚。
砕け散った反射板、 苔むしたパイプの中に一欠片。 まるで血のようだと思ったから、 それがやたらと目についた。 朝からどうにも煮詰まって、 ふとした痛みに襲われる。 穴倉の反射板、 いつか苔に覆われて。 それとも雨に流される? 時間だけがただ過ぎてゆ…
砂糖と小麦の塊に、 少し薄めのコーヒーを。 それらは管を通り全身を巡る。 そしてテーブル上には空白が残る。 レモン風味のワッフルは爆発するか? 丸善の、美術書架隣の喫茶店。
朝は寒すぎて起きれなかったから、 起きたときにはもう昼過ぎだった。 何もする気がおきないので、仕方がないから外に出る。 外に出てしまえばちゃんと暖かかったし、 鮮烈な色たちが心を軽くする。 ヤマツツジが見たくて森へ行ったけど、 目を惹くのは気の…
綺麗に花を咲かせた桜も、 やがては病に侵され切られるだろう。 新鮮な肉を蟲やら腐菌が食い荒らし。 いつの間にか土に還る。 切られる前は人目を引いた桜も、 切られた後は打ち捨てられるだけ。 誰の目も惹かず、ただ還る。 桜枝壊相(おうしえそう)、市原…
光が道に差したとき、影の中に色彩を見る。 無限に分割された境界に、錯視効果的グラデーションを。 美しいものは永遠ではない。 必ず終わりがある。 我々は長くそれを味わおうとするが、どう頑張っても終わりがある。 故に美は永遠化される。 私の終わりが…
彩は寂光に、 アヤメはただたたずみ、 やがては暗に溶けましょう。 私はただ見て、 時のほどける前にそれを留めようとする。 ただ満ちたまま、 やっぱりそれも暗に溶けるのでしょう。
つめたい雨はもう止んで。 若葉を潤わせ春驟雨。 今年の春は二週間早いから。 蛙だって鳴きだした。 明日には夏でも驚くまい。 防水靴に穴が空いたから。 梅雨の来るまでに替えましょう。
あんまり歩きすぎたから、 足は痛むし頭も働かない。 小さく叩く音に目が覚める。 薄ぼんやりと浮かぶ山影は雨に。 峻厳さはうしなはれ、 湿度を帯びた風が手を撫ぜる。
上野のハトは毛並みがイイネだなんて、 あまりにくだらないことを思いついたのは。 わずかの草を啄むキミを、見たからだ。 濁流一角囲われて、 まるで飼われるニワトリのよう。 生きれる場所は少ないが、 なおも生きながらえている。 街のハトは結構獰猛だっ…
誰にやられた溝鼠。 打ち捨てられてシまっても。 カラスも口をつけやしない。 ヨタモノの末路なんてそんなもの。 見向きもされず歩いてく。 ヨソモノだけが見つめてる。 正視なんてできやしないから、 ピントだってボケちまう。
夜の八条口ってどうしてこう不気味なのか。 四角四面な建物に、だだっ広いバスのりば。 さながらドンキは魔界への城。 この俗悪さがむしろ真実か? これくらいの気楽さが肝要と存じます。
コロナ禍以来の空白を、どのように了解すれば良いのかわからない。 わからない、ということはない。ただ空白なのだ。それしかわからない。 三年という時間を無駄に浪費させただけなのか、自分は何を思っていたのか。あるいは職業的なところから抱いた怒りだ…